結果発表

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昭和100年への想い

※昭和100年の節目に「昭和への想い」を作品にしてください。

選考委員:東 直子

最優秀賞
カタログギフト5万円分(1名)

作者名:城下のウシガエル 様

作品
黒電話じーこじーこにはやる胸
寸評
昭和を象徴する黒電話は、今回たくさんの人が詠んでいた。この句は、「じーこじーこ」という擬音語を使ってダイヤルを回す様子を描き、一度回したダイヤルが元に戻ってからまた回すという、まどろっこしく感じる時間に気持ちが次第に高まっていく気分が生き生きと蘇る。誰が電話に出るか分からない緊張感もあった。

優秀賞
カタログギフト1万円分(3名)

作者名
ネコじー 様
作品
色のないプロレスをみた蚊帳の中
寸評
白黒テレビでプロレスを観戦した記憶を詠んでいる。エアコンが普及する前は、窓を開けて風を通し、蚊に刺されないように天井から吊った蚊帳の中で寝ていた。淡い緑色の蚊帳の中から外を見ると少し幻想的で、風情があった。プロレスの衝撃的な記憶もだんだん薄れつつあることが「蚊帳の中」という結語に込められているのだろう。
作者名
加藤 桂市 様
作品
今もなお「殺人狂」の声がする 
寸評
「殺人狂」といえば、チャップリンの映画『殺人狂の時代』が思い浮かぶ。映画の中の「一人の殺人は犯罪者を生み、戦争での百万の殺人は英雄を生む」という台詞が思い出される。昭和時代は多くの人が戦争に巻き込まれて命を落としたが、今もなお消えることのない不穏さを「声がする」と表現したのだろう。
作者名
松ちゃん 様
作品
要塞も草に埋もれて80年
寸評
昭和100年のうち、終戦から80年。戦争のために作られた要塞も80年間使われることなく草に覆われた。草むす要塞は、平和の象徴である。誇りにしていい光景ともいえる。松尾芭蕉の「夏草や兵どもが夢の跡」を彷彿させ、胸に沁みる。昭和が歴史的にも特別だったことを伝える。

佳作
カタログギフト5千円分(5名)

       
  
作品
白と黒はっきりしてた昭和のヒーロー
寸評
「白と黒」は、白黒テレビだったこと、そして正義と悪が二項対立的に分かりやすく描かれていたことも示している。
 
       
  
作品
知らぬ間に遥かに遠いご近所さん
寸評
かつてのご近所づきあいが、現在はとても希薄になってきている。心理的な遠さを「遥かに遠い」としたのだろう。
 
       
  
作品
箸袋の裏に番号書く昭和
寸評
アナログな時代、手元にあった箸袋を使って相手の電話番号をメモした。細かいエピソードを描いて、リアリティーがある。
 
       
  
作品
ラジオから昼の憩いのテーマ曲 
寸評
「昼の憩い」は現在も続いているようだが、古関裕而作曲のテーマ曲は、のどかな昭和の田舎の風景を想起させてくれる。
 
       
  
作品
電話よと呼ばれてにぎる受話器かな
寸評
固定電話に誰かが自分にかけてきた。家族が引き継いでくれるときのなんともいえない緊張感がよく伝わる。
 

特別賞
カタログギフト2万円分(2名)

       
  
作品
きな臭い昭和の臭い令和にも
寸評
いつの間にか市民も巻き込まれていった戦争をはじめ、昭和時代には様々なきな臭さが漂っていた。そんな昭和はとっくの昔に終わったが、同じことが繰り返されている気配が、令和の今もある。「きな臭い」の語が秀逸。
 
       
  
作品
弁当にぼくらの魚肉ソーセージ
寸評
真っ赤なビニールにぴったりと包まれていた魚肉ソーセージ。弁当のおかずに、おやつに、昭和の子どもにとっては身近だった。安い食べ物の代表みたいな物だが、「ぼくらの」と呼ぶほど楽しみだったのだ。
 

ありがとう賞
クオカード(50名)

ご応募いただいた中から抽選で
50名様にクオカード1,000円分をプレゼント

※賞品は11月頃より発送いたします。

※ありがとう賞の当選結果はクオカードの発送をもってかえさせていただきます。

過去の受賞作品のご紹介

2024年 受賞作品

テーマ

つぶやき

選考委員:東 直子

最優秀賞
作品
効き目よし母の涼しき言い回し
作者
楱名 様
寸評
いつもまっすぐに心に刺さる言葉を届けてくれた「母」への敬意が伝わる。「涼しき言い回し」、言葉数は少なくてもすっきりとした表現だったのだろう。「よし」「涼しき」「言い回し」と「し」の音が繰り返し使われたことで清々しい韻律が生まれ、言葉の切れの良さを音の面からも際立たせている。
優秀賞
作品
これだけは言うなと思っていたのになぁ
作者
田中 義展 様
作品
甘すぎた覚悟老後と云う荒野
作者
土井 文子 様
作品
さざ波を立てて湯舟が愚痴を聞く
作者
山口 昌彦 様
特別賞
作品
AIに冥土の行き方聞いてみる
作者
あゆちゃん 様
作品
怖かったそれでも私能登が好き
作者
坂下 のぶ子 様

2023年 受賞作品

テーマ

ぼやき

選考委員:東 直子

最優秀賞
作品
慢心を支えきれない土踏まず
作者
丸尾石 様
寸評
頭ではできるつもりになって、自分は有能だと驕り高ぶっても、足下がぐらついていては説得力がない。「支えきれない土踏まず」は、しっかりと地に足をつけておらず、軽薄であることの証のよう。誰かに対する皮肉にも読めるが、自分自身を客観的に見つめた戒めとして詠まれたのだろう。力強い文体に批評性が宿る。
優秀賞
作品
友の死を語り合える友あと一人
作者
黒川 豊千子 様
作品
花を見る我が世の端に腰かけて
作者
小篠 ミチ 様
作品
病癒え妻だけが飲む祝い酒
作者
庄村 照夫 様
特別賞
作品
会社辞めいつのまにやら友達いなく
作者
水野 豊 様
作品
片づけを終えたとたんにまた豪雨
作者
大西 茂和 様

2022年 受賞作品

テーマ

退職者川柳

選考委員:東 直子

最優秀賞
作品
生きているしるしか友の長電話
作者
小林 弘道 様
寸評
長電話ができるのもお互い退職して自由な時間がたっぷりあるから。それを「生きているしるし」とした表現がとてもすてきです。最近はほとんどの用事をメールやLINEなどのオンラインツールで済ますことが多いですが、電話で生きている肉体を使って声を交わしあうのもよいものだと再認識しました。
優秀賞
作品
会社から社会にかわり生きる日々
作者
健鬼 様
作品
『徘徊じゃないよ!』と散歩の背を伸ばし
作者
髙嶋 一誠 様
作品
父の日の手酌の酒をあふれさす
作者
宵待草 様
特別賞
作品
目がさめてリタイヤ気づき又眠る
作者
勝山 博行 様
作品
夢に見た自由時間を持てあます
作者
西田 力 様

2021年 受賞作品

テーマ

希望

選考委員:東 直子

最優秀賞
作品
寝たきりになるんじゃないぞ(ひ)孫が来る
作者
老人28号 様
寸評
コロナが無事に終息すれば、孫もひ孫も会いにきてくれる。もう一度楽しい時間を過ごせるように、会えない間に寝たきりにはならないように配偶者に呼びかけ、自分にも言い聞かせているのでしょう。勢いのある文体が精神的な喝としてエネルギーをくれるようで、しゃきっとなる一句です。
優秀賞
作品
野良猫も我が家にくればお姫様
作者
江原 明 様
作品
園児らの声の彼方に飛行機雲
作者
さくゆう子 様
作品
葉桜のこの道曲れば子が待てり
作者
やすみこ 様
特別賞
作品
マスク顔若く見られて自信湧く
作者
タイガーマスク 様
作品
逢えずとも同じ大空声ひびく
作者
増田 知子 様